補強用外ケーブル

戦後、半世紀にわたる橋梁の建設は国内の縦横に構築される道路や鉄道を次々とつなぎ、荒廃した国土の覆工の一翼を担い、めざましい経済発展に大きな役割を果たしてきました。しかし、一方では、飛躍的な経済発展に伴う交通量の増加や通行車両の大型化に加え、材料の劣化などにより耐荷力の不足が生じている橋梁も見られ、社会資本の多くがその寿命を迎えようとしています。

SEEE/補強用外ケーブル(F-TS型)による橋梁補強工法は、耐荷力の不足を補う目的で1972年より行われ、構造物の長寿命化に役立ってまいりました。1993年の道路構造令の一部改正により、設計活荷重(TL-20荷重からB活荷重)が変更され、耐荷力の向上に加え、老朽化に伴う維持更新および環境改善を目的とした主桁連結工法も必要とされ、高速道路、主要幹線道路をはじめとして多くの橋梁に補強工事が行われてきました。

ケーブルタイプは、F20TSからF500TSまで(引張荷重:261kN~4761kN)あり、橋梁形式に応じた経済的な選定が可能です。また、補強用外ケーブルの事例集(PDF/5.7MB)も掲載しておりますので参考願います。

特長

  1. F-TS型は、コンクリート橋をはじめとし、多くの実績を持つスタンダードなタイプです。
  2. F-PH型は、高疲労強度を有し、比較的応力振幅の大きい鋼橋に適したケーブルです。
  3. 工場において十分な品質管理のもとで生産されるプレハブタイプです。現場での測長や防錆加工などの作業を必要とせず、コスト縮減が可能です。
  4. ナット式定着のため、セット量がなく経済的な設計ができます。短尺ケーブルでも必要なプレストレスが確実に導入できます。
  5. ナット式定着のため、再緊張や取替えを容易に行え、緊張作業に熟練を要しません。
  6. PC鋼材には防錆油を塗布し、耐候性を有するポリエチレン樹脂を密着させて被覆した完全防錆型ケーブルです。(現場でのグラウト等の防錆処理は必要ありません。)
  7. 経済的なケーブル選定を可能にするため、多くの種類を用意しています。
  8. PC、PRC、RCおよび鋼構造物に対して、それぞれの特長を活かした自由な設計ができます。

定着具

マンション断面図

マンション断面構造(F-TS型)

マンション断面構造(F-PH型)

定着部

定着装置には、コンクリート製および鋼製のものを標準としています。

コンクリート橋の場合は緊張用PC鋼棒を用いてポストテンション方式により主桁側面に定着装置を取付ける方法が一般的であり、鋼橋の場合は、高力ボルトを用いて同じく主桁側面に取付ける方法が一般的です。

また、最近ではコンクリート橋の場合に緊結用PC鋼棒の緊張などの作業スペースの確保が困難な場合に、プレテンション方式による中空PC鋼棒やアラミドFRPロッドを採用する例もあります。

コンクリート橋にコンクリート製の定着装置を用いた例

コンクリート橋に鋼製の定着装置を用いた例

鋼橋(主桁側面)に鋼製の定着装置を用いた例

鋼橋(主桁下フランジ)に鋼製の定着装置を用いた例

偏向部

定着装置と同様に、コンクリート製および鋼製のものを標準としています。

偏向装置の設置部としては、中間横桁の底面に設置する方式が一般的ですが、主桁側面に緊結用PC鋼棒を用いて設置する方式や削孔した横桁を偏向装置とする方式も多くの実績があります。

また、偏向具には、ナイロン樹脂製、鋳物製、鋼製およびコンクリート製などの様々な型式がありますが、SEEE工法では、作業性、加工性、実績および機械的性質などを考慮し、ナイロン樹脂製の偏向具が用いられています。

コンクリート橋T桁に設置した例

中間支点上横桁に設置した例
鋼板桁側面に設置した例

緊張装置

緊張ジャッキ・ポンプは、F型ケーブルと同じ装置を使用しますが、ケーブル端部に緊張作業空間がない場合に、2本のケーブルをジャッキにより引き寄せカップリングする方法もあります。

引寄せ型ジャッキ
外ケーブルにナット(A,B,C,D)と接続具のカップラーを取り付ける。

施工例

事例集(外ケーブル方式橋梁補強工法)PDF/5.7MB→こちらをクリック

1)単純T桁橋

2)RC3径間連続中空床版橋