真空グラウトシステム

SEEE協会では2001年11月より、PC構造物に用いるグラウトの品質向上と、より確実な充填技術を確立するとともに、この技術を普及させる目的で、技術委員会傘下にグラウト特別分科会を設立しました。本分科会において、グラウトを確実に行える方法として、欧州で実施されていた真空ポンプを併用する方法に着目し、関連機材の導入、実用化に向けての検証実験と現場測定を繰り返し、その結果から真空ポンプ併用グラウト施工法が、グラウトの充填性と作業性の改善に大きな効果があることを確認しております。(旧NETIS登録No.:CG-060006)

真空グラウトは、排出側に真空グラウトポンプを接続し、グラウト注入前からグラウト注入中に渡り、ダクト内を真空にした状態で行うグラウトの施工方法で、真空グラウトポンプ以外に特別な機材は必要ありません。

また、桁内のグラウトタイプ外ケーブルにおいて、グラウトの目視による充填確認を必要とする場合には、(株)エスイーが開発した真空ブラウトにも適用可能なメーテルダクト(外ケーブルグラウト充填度確認用保護菅)を併用することにより、より確実なグラウト施工を行うことができます。

なお、真空グラウトの施工に関しては、財団法人土木研究センターとSEEE協会が協同で作成、発行しております「真空グラウト施工マニュアル 2003年11月」をご参照下さい。

真空グラウトの基本

真空グラウトの本来的意義は、ダクト内の空気圧を低くすることによって「残留空気発生時の圧力を低くし、その後のグラウト圧の上昇によってその体積を縮小させ、空隙の少ない充填度の高いグラウトとすること」にあります。

以下に、残留空気の体積変化の状況を示します。

STEP-1
グラウト注入時
(グラウト先端部)
  • 先流れや巻き込みにより、真空状態(-0.09MPa以下)の空気がグラウト中に残留する。
STEP-2
グラウト注入時
  • グラウトの進行に伴うグラウト圧の上昇により、残留空気の体積は縮小する。
STEP-3
グラウト排出口閉栓後の加圧時
  • 加圧により、残留空気の体積は、さらに縮小する。
STEP-4
グラウト硬化時
  • 養生中において、ダクトの密閉性を確保することにより、残留空気の膨張が抑制され、その状態でグラウトは硬化する。

真空グラウトにより期待される効果

真空グラウトにより期待される効果を以下に示します。

  • 気泡等の残留空気による空隙を極めて小さくすることができる。
  • 従来のグラウトで行う注入経路内の頂部に設けたホースでの排気作業が不要である。
  • 事前の減圧により、注入経路内の密閉性および閉塞の有無を確認できる。
  • 注入圧との圧力損失分だけ、グラウト注入長を長くすることができ、また単位時間当たりのグラウト注入量を大きくすることができる。

真空グラウトの 施工フローチャート


メーテルダクト

メーテルダクトは、グラウト充填状況が目視可能な外ケーブル用保護管です。

グラウトタイプ外ケーブルにおいてグラウトの目視確認を必要とする場合に使用され、その特長を以下に示します。

  • 外ケーブル保護管に従来から採用されている硬質ポリエチレン管と同様の取り扱いが可能です。
  • 外ケーブルグラウトの要である保護管の接続は、バット溶着により接着剤を用いることなく、容易な接続が可能です。
  • 汎用性の高いポリプロピレンをベースに改良し、添加剤を加えることで耐候性を向上させています。
  • グラウトに必要な耐圧を有し、SEEE真空グラウト工法との併用で確実なグラウト施工ができます。
  • 耐アルカリ性、耐油性に優れた材料を使用しているため、グラウトに適しています。
  • ベースとなるポリプロピレンは食品用容器、幼児の玩具等にも使用される安全な樹脂です。
バット溶着後
グラウト充填状況