SEEE/FUT-Hシステムは、海外の斜張橋で使用実績が多くある現場製作斜ケーブルとして開発したもので、ポリエチレン被覆した亜鉛めっきPC鋼より線φ15.6mm(以下、ストランドという)を用いた、グラウトが不要なノングラウトタイプのケーブルです。
ストランドの構成本数は19本から127本(引張荷重:4960kN~33100kN)まで対応可能で、設計張力により、ストランド本数を1本単位で任意に設定することができます。
SEEE/FUT-Hシステムは、ケーブル本体と、ウェッジ、アンカーヘッド、定着ブロック、支圧板などからなる定着具で構成されます。
工場製作斜ケーブルと異なり、ストランドの搬入や架設・緊張など全ての現場施工をストランド1本単位で行うことにより、特殊な運搬・架設機材を用いることなく施工が可能となります。
特長
- 重防食ストランド使用
亜鉛めっきストランドφ15.6mmにグリース状防錆材を塗布し、表面にポリエチレン被覆したもので、長期防食性とともに、架設中における防錆も完全です。 - JIS強度を保証
ストランドは、JIS G 3536 SWPR7BL φ15.2の強度を保証します。 - 高疲労強度
高疲労用に開発した特殊ウェッジを使用して、つかみ部の応力集中を緩和するとともに、曲げ応力の影響についても緩和する工夫を加え、以下の疲労強度を保証します。
N≧2×106回 Fmax=0.45Pu Δσ=215Mpa(Δσ=22kgf/mm2) - 張力調整が容易でケーブル交換が可能
張力調整は調整側定着ブロックのナットを回して容易に行えます。また、ケーブルの取り外し、及び交換も容易に行えます。
定着具
ストランドを固定するウェッジ、アンカーヘッド、定着ブロックおよび構造物の荷重を斜材に伝達・支持させるための支圧板・ナット等の定着具で構成されています。
ケーブル定着部の基本構造は、固定定着具と調整定着具とに分けられ、それぞれ異なる構造となっています。
ストランド断面図
本システムで使用するストランドは、溶融亜鉛めっき加工したPC鋼より線(7本より15.6㎜)に防錆材としてグリースを塗布し、表面にポリエチレン被覆を施した防錆構造です。
定着部の防錆
ストランドの定着部はポリエチレン被覆を剥がすため、ケーブルの架設・緊張作業完了後に防錆材を注入します。
緊張装置
SEEE/FUT-Hシステムは、ストランドを1本ずつウィンチ等で架設し、小型ジャッキで緊張していきます。
また、張力調整時に一括緊張できる大型ジャッキもあります。